井の頭公園の散歩帰りに焼き鳥「いせや」本店に寄り道した。創業1953年（昭和28年）の老舗です。

一人呑みなので文庫本を取り出し読み出したら、お隣さんから声をかけられ「いせや」常連でフォークシンガー高田 渡氏の話で盛り上がった。お隣さんは高田氏と長く酒を酌み交わし、氏の家に泊まったりと、かなり親しくお付き合いをなされていたようでした。

氏との酒盛りの話を聞いている内に、山之口貘氏の詩についての考察が始まった。高田 渡氏の幾つかの曲の詩は山之口貘氏によるものがあり、私が山之口貘氏の詩集を手にしたのは16歳。

自由で決して中央を求めない生き方。沖縄への憧れもこの頃に始まったと思う。効率とは無縁の時代、隙間にあそびがあって当たり前の時代だった様に思う。

鼻の奥がつんとするような懐かしさを覚えつつ、お隣さんのご子息の話も加わり終宴を迎えました。週に何度か通っているとの事ですが二度とお会いして話す事はないでしょう。

楽しい時間をありがとうとお伝えします。

見知らぬ者同士の「一期一会」の文化はかろうじて吉祥寺「いせや」に残っている様です。

写真は「千ベロ居酒屋放浪記」にしてみました。

スタジオアオラ　店主